28歳からの林業

Iターンで地方へ移住し、未経験から林業の会社に就職。林業の実際を現場からお伝えしていきます。

山登りが好きなら林業

 朝6時ころ起床。部屋の窓から入ってくる風がまだ少しだけ肌寒い朝でした。もうすぐ梅雨が来ますね。

 

 今日は午前中から標高1000m程の山で仕事をしていましたが、むしむしした暑さで、ヘルメットの中は汗びっしょりでした。一日中木を伐りまくりましたが、たまに土を切りチェーンソーの刃をすり減らしては、やすりで砥ぐ、という一日でした。

 

 今回お話ししたいのは、林業と登山についてです。

 

 私は月に一度は登山に行っています。地面を蹴り一歩一歩しっかりした足取りで、山を登り、脇に立っている名前も知らない木々をなんとなく視界に入れながら、山頂でもなんとなく景色を楽しみ、そのあとは、すこし億劫な気持ちを感じながらも、下山をする。

 入山から下山までのほとんどの時間は歩くので、毎回それなりに疲れます。もちろん自然の中で体を動かすのはとても健康的なことに違いありませんが、私はこれの何が楽しいのか正直よく説明できないのです。それでいて何度も登ってしまう。山登りの何が魅力的なのか、それを知るために何回も登ってしまう、という感じです。

 

 さて、私は約1か月前に林業を始めましたが、この仕事めちゃくちゃ歩きます。

 前の記事で触れたことがあったかもしれませんが、(私の知る限り)林業の仕事で一番歩くのは、「ルート踏査」という作業です。

 これは、山の中に新たに道を作る際、どのルートだとベストな道(急勾配すぎず岩が少ないなど)が作れるかを自分の足で歩いて調査する作業のことです。つまり道づくりのルートを調べるのです。そこで、ルートが決まれば、重機などを入れて実際に道をつけます。

 

 道ができる前の道なき道を歩くわけなので、雑木林だろうが、ずるずるに滑る急傾斜だろうが、関係なしにズンズン歩きます。木と木の間を縫い、木の細かい枝を身体に当ててバキバキと折りながら突進します。獣道すらないところを等高線の書かれた地図を頼りに、ベテランの先輩の経験と勘を頼りにベストなルートを探し出します。

 

 この作業は、もうこれは登山といってもいいと思います。ほとんど一日中歩き詰めです。残念ながら、山の頂上からの景色をいつも期待できるとは限りませんが。というのも、毎回山頂経由で道を作るとは限らないので。

 

 もし体力に自信がある、あるいは真剣に体力をつけたいという方がおられましたら、この作業、お勧めです。

 林業に興味があり、自然が好きで身体を動かすのがお好きであれば、林業は間違いないです。飽きるほど山を歩くことができます。

 

 

さてこの辺で

 

 

 

 

ルート踏査

身体を動かすことが仕事

 

これからの林業

 

 今日は曇りにもかかわらず暑かったです。山の中では、密植された針葉樹林を放射線状に貫通するようにセミの鳴き声が響いていました。この時期なので、ヒメハルゼミか、エゾゼミでしょう。数分歩くだけで服に汗が染み込みます。これから夏が始まりますね。

 今回お話ししたいのは、今までとこれからの林業のあり方についてです。と言っても、あまり大風呂敷を広げるようなテーマにしても、僕自身答えられる範囲が限られているため、私の会社での認識を中心についてお話していきます。

 

今までの林業

 以前の記事でも言及したことがありますが、木材(丸太)の値段は1970年~1980年代頃、非常に良かったのです。現在の3倍ほどの値段が付きました。

 私の会社の社長は現在70代で、現役でバリバリやっておりますが、その社長が若かった頃は、ほとんど現場に出なくても、十分すぎるくらい商売が成り立っていたと聞いています。木材の価格が今よりも良く需要があったので楽に売れたそうです。

 「あの頃は良い時代だった。」とつぶやいているのをたまに聞きます。

 

現在の林業

 ところが、1980年をピークに国産の木材の価格はどんどん下落し、木材の需要も昔ほど旺盛ではなくなり、現在は国からの補助金なしには経営が成り立たないような状況に陥ってしまいました。私の会社の売り上げのほとんどは国からの補助金で占められています。補助金なしには、成り立たないような商売をしているわけです。

 昔から、現場で汗水流して、林業家の方が苦労してこられたのは間違いないですが、いつまでも木材が売れ続けるという神話の上にあぐらをかいていたのもまた事実だと思います。 

 

これからの林業

 木材が今まで通りに売れなり、さてどうするのか、という状況で一番最初に思い浮かぶのが、木材に付加価値をつけて売るということです。このような取り組みはすでにたくさんの林業家の方が着手をしています。

 杉や桧で作った家具・日用品、芸術的な路線での木製インテリア、ひのきを使ったアロマオイル、などなど。

 あるいは、所有する森林をまるごと使ってキャンプ場にしたり、森林セラピーの場として利用したり、いろいろなアイデアが飛び交っている状況です。

 あの手この手を使って、なんとかこの業界を立ち直らせたいという雰囲気がどんどん強くなってきているように思います。

 何もアイデアを出さず、何も実行に移さなければ、間違いなく淘汰される時代です。

 

終わりに

 日本の国土の約30%は先人が私たちに託した人工林であることを忘れてはいけません。これらを放置することは、大変な資源の放置に繋がります。私たちは、少なくとも江戸時代から、植えては伐って生活に利用し、また植えては、、、というサイクルを繰り返しながら木々と付き合ってきました。

 そのサイクルの中で、人工林を整備し、森を美しく保つという行為を絶えず行ってきました。

 この膨大な資源を、過去から未来へ循環させ続けるためにはどうすればいいのか、 林業家がしっかりと生計をたてながら、人工林を美しく保つためにはどうすればいいのか。

 

 無い知恵を絞りながらも日々頭を悩ませています。

 

さてこの辺で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会社の飲み会って参加する価値あるの?  私の会社の飲み会事情

 

 私は今月から、全くの未経験で林業の会社に就職をしたのですが、入社してから社内で5回ほど飲み会を経験しています。週に一回は定期的に行われています。ただ、コロナによる感染を避けるため、飲み会はすべて会社内で開かれます。

 

 私の感覚ですが、昔からワンマンで経営してるような零細な林業の会社では、社長が酒好きである可能性が高いです。うちの社長も例外ではありません。うちの場合は社長のその時の気分で、飲み会をするかどうかが決まります。

 

 つい先日も、朝早くから現場で山仕事をして、夕方頃作業を終え、くたくたになって、「早く帰ってシャワー浴びて飯食って、ひんやりした布団に滑り込んで寝よう」と思いながら、山を下り事務所に戻ったところ、社長がビール片手に事務所で、知り合いの経営者と愉快そうにおしゃべりをしていました。

 

 社長が知り合いを事務所に招いて、一緒にビールを飲んでいるということは、飲み会確定のフラグなので、その晩は早く帰宅できないことを意味します。

 

 飲み会が終われば、私みたいな新人は必ず先輩方の車の運転をしなければなりません。新人はお酒は飲まずに先輩や社長のために車の運転をする。そういうルールです。(ちなみに私は普段からお酒は飲みません。)車で先輩方を家まで送り届けるだけで1時間以上はかかるので、これはなかなか大きな負担になります。いかにも日本らしい風習です。現在はこういう会社は減っているのではないでしょうか。

 

 その日、私は社長に頼まれるがままに、近所の飲食店に電話をかけて、飲み会用の出前の注文をしました。出前が来るまでは、社長のお酒のお代わりを準備したり、先輩に缶ビールを運んだり、空いた缶を下げたり。そういったことをします。うちの会社では、先輩に対する気配りがとても大切です。それがここで働くための暗黙の条件であり、新人研修であり、人が二足歩行するが如く自然にできるようにならなければならないのです。

 この日の飲み会のゲストである、社長の友人はとても饒舌でお話もすごくおもしろい方でした。ところどころ、「有難い話」と称して少し説教じみたことや、同じ話を何度も繰り返したり、自分がおもしろいと感じた話を一方的にしゃべることもたくさんありましたが。。。

 ただ、どれだけ楽しいお話であっても、私たち新人からすると、飲み会もまた仕事の一部という認識なので、常に神経は尖らせています。常に周りのお酒の減り具合を観察しなければなりません。話を振られれば、謙遜を交えた無難な返しをしなけれなりませんし、おもしろくない話でも、顔の筋肉がピクピクひきつるまで笑わなければなりません(少なくとも私はそのようにしてやり過ごしています。)

 

 結局この日の飲み会が終わったのは24時過ぎでした。18時ころから始まったので6時間ほどの飲み会でした。ここから、私たち年下の人間は先輩方を家まで送り届けたので、家に着いたのは2時前でした。もちろん翌日も朝から現場仕事です。

 

 私は飲み会をするたびに、

この時間に意味はあるのかな?

 と考えてしまいます。

 

 確かに、飲み会で人生経験の豊富な経営者や先輩方のお話を伺うことや、従業員同士の一体感を肌で感じることは大切なことかもしれませんが、長時間の飲み会の中で、退屈だと感じたり苦痛に思う時間も多々あります。笑えないくらい卑猥な話や節操のない言葉遣いで面食らうこともよくあります。

 うちの会社の場合、飲み会をするかどうかは完全に社長の一存によるので、見方によっては、社長の娯楽、暇つぶしと考えることもできます。飲み会を他の従業員がだれ一人望んでいない場合にあってはなおさらです。

 もし飲み会が、毎回毎回、社長がただただ世の中の不満を並べたり、下品な言葉を撒き喚き散らすだけの場であったとするなら、私はそんな飲み会に参加するのは苦痛でしかなかったでしょうが、幸い、ためになると思う話もちらほら聞けるので、なんとか耐えることができているというのが実際のところです。

 というかそれ以上に、私はまだ入社したての新人で、ろくに仕事もできないので、こういう場で生意気なことを言って波風を立てるよりは、ただじっくり我慢して飲み会に参加して、気配りや先輩の話など、学べそうなところは学び、たとえ飲み会に意味があるかどうか確信がなかったとしても、意味を見出せるようじっと目を凝らして傍観しているといったほうが正しいかもしれません。

 

 どうせ会社で乗り気のしない飲み会に駆り出されるなら、自分で何か意味を見出してやろう、何ならこの飲み会を利用して自分の学びの機会に変えてやろう、くらいのくそ生意気な気概を持つことができたら、それが一番強いのでしょう。

 

 

 

さてこの辺で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

林業って実際何するの?

 

 私が林業の会社に就職して3週間ほど経ちます。初めての業界で、右も左も分からず苦労の連続ですが。加えて、山での仕事は本当に体力勝負です。大地にしっかり足の着いた、原始的な労働が大半を占めます。接客業や営業をされている方は、ノルマやお客さんの対応で精神的な負荷がかかりやすいかと思いますが、山仕事は主に肉体面での負担が大きいと一般的に言えるでしょう。

 

 さて今回記事にしたいのは、林業の会社で働く私が、具体的にどのような業務を行っているのかということです。山の仕事は、ただ単にチェーンソーで木を伐りまくっているだけではありません。伐採した木を搬出しやすくするために、林道を切り開くことも重要な仕事の一つなのです。これを道づくりと呼びます。

 

 道づくりの重要性についてたとえ話を用いて説明します。もしあなたが、祖父の所有していた山を相続したとします。しかもその山にはたくさんの杉や桧が育っています。その木材を毎日市場に出せばそれなりの収入になるとします。ただ問題は、その山には木を搬出する道がありません。細くて険しい獣道しかない状態です。チェーンソーで木は伐採できてもそれを運び出す手段がなければ意味がありません。これは当たり前と言えば当たり前の話ですが、道づくりは木材を搬出するにはなくてはならない存在なのです。

 この道は山の所有者が元から作ってくれているとは限りませんし、安全で必要最低限の道づくりを行うにはそれなりに専門的な知識と技術が必要になってきます。

 たとえば、下手に道の幅を広げすぎると道が崩落しやすくなります。崩落しにくい最小限のサイズというのは長い経験と科学的な見地からおおよそ決まっています。我々の会社は、先人の知識と経験に頼りながら道づくりをしているのです。それは山に過度な負担をかけずに共存していくということでもあります。

 

 この道づくりが、我々の仕事の半分以上を占めているのです。そして、道づくりをすることによって国から補助金をもらうことができます。国から指定された方式に従って道を作ることで1m〇円という単価で、一つの山に対し数百から数千mほど切り開きます。

 

 この記事では、つい昨日私が実際に行った道づくりの具体的な内容について話していきます。道づくりと一口に言っても様々な工程がありますが、今回行ったのはその中の「裏積工(うらづみこう)」という工程です。これが全行程の中のどの辺に位置するのかをざっくりまとめると、

 

①何の道もない山を歩き予定ルートを決める

②予定ルート上にある邪魔な木を伐採する

③重機を用いて、大体の粗い道をつくっていく

④道の谷側(路肩の下の部分)に丸太の木組みを入れる

⑤道の路肩部分に丸太の木組みを入れる

⑥道の山側(道の壁)の部分に丸太の木組みを入れる 裏積工 ⇐ ここ

⑦勾配修正

⑧敷砂利

 

 裏積工の目的は、道の山側表面にある土の移動、崩落を防ぎ、草が表土に生育しやすくすることです。簡単に言えば壁を崩れにくくすることだと言えるでしょう。

 壁のサイズに応じてチェーンソーで丸太を切断して壁側に埋めるようにして置き、それを何段にも積んでいくのです。

 この際丸太は釘で固定するのですが、すべてハンマーによる手打ちです。最初はこの釘がなかなか丸太に入りません。打ち付けている途中でぐにゃっと曲がってしまうのです。曲がってしまえば使い物にならないので、また新しい釘を打ち付けます。ハンマーも重たいのでなかなかの消耗戦です。私は林業の世界に入ってまだ4週間ほどですが、もうすでに数百本の釘を曲げて無駄にしています。

 このように、裏積工はとても地味な肉体労働作業です。これが何日も続くわけですから、体力がつかないわけがありません。ハンマーのおかげで手はマメだらけです。手の平も、こころなしかゴツくなったように思います。

 

終わりに

 

 さて、道づくりをすることで、木の搬出ができるようになりますし国から補助金ももらえるので、そういう意味ではこの仕事の意義は大きいのですが、他方で、この仕事によって具体的に誰かの人生に貢献している、といった社会的な実感がすごく見えにくいのが現実です。

 ですが、道づくりによって木の搬出や山の手入れもしやすくなり、まさに山と人との共生を可能にしているわけなので、これからもやめるわけにはいきません。

 

 今は一日も早く先人の技術と知識を継承して、山で働く術を身に付けていきたいです。

 

ありがとうございました。

 

さてこの辺で。

 

 

 

林業のイメージと現実

林業」と聞いて、みなさんはどのようなイメージが湧きますか?

 

 私はまだ林業を初めて3週間ほどのド素人みたいな者ですが、今回の記事では、私が以前に持っていた林業に対するイメージと、実際に経験して分かった現実についてお話していきたいと思います。

 

 この記事は私が働く職場を参考にしていますので、林業に興味を持たれている方にとってどの程度役立つかはわかりませんが。。。

 

 まずは、林業を始める前のイメージと、実際に始めた後で感じた現実についてお話していきます。これは、林業の会社に就職した一従業員目線でのお話なので、起業してご自身で林業をされる場合には、また事情が変わってくるかと思います。

 

 

私がイメージしていた林業 ⇔ 私が経験した現実

 

①都会の喧騒から離れ、自然に囲まれた仕事場 

⇐ 基本的にイメージ通り

②体をフルに使って働くので健康的 

⇐ これは完全にイメージ通り

③朝早くから働き、夕方には帰宅 

⇐ 私の会社では8時出社、20時帰社が基本

④仕事上での面倒な人間関係が少ない 

⇐  一概には言えない

⑤雨の日は休み 

⇐ 現場仕事はできないが、事務仕事をする可能性あり

⑥給料が安い 

⇐ 私の初任給は手取りで13万円ほど

 

 

 ①に関しては、みなさんの想像通りです。山の中には仕事仲間以外に誰もいません。黙々と山仕事をこなし、たまに休憩したり、お昼ご飯を食べたりで、日が暮れる前に山から下ります。

 私はまだ林業を始めてから3週間程度ですが、やはり山というのは清々しいです。

山といっても杉と桧の人工林なんですがね。ただ、耳を澄ませば小鳥のさえずりが聴こえますし、木々の樹冠からこぼれる陽光などはたまらなく美しいです。標高1000m近い山は初夏でもすこし肌寒かったりしますが。

 

 ②体全体を使う仕事なので非常に健康的だと言えるでしょう。山仕事では重機に乗ることも多いですが、やはり自分の足で歩き、自分の手で木を伐り、道具を運び、土を鍬で掘ったりすることがメインのように思います。少なくとも私の会社ではそうです。

 仕事後は、心地よい疲労感がじんわり体に染みてきます。ビール好きなら間違いなく、ここで一杯。私はお酒自体好きではありませんが。

 

 ③私の会社の規定では8時出勤、17時帰社になっていますが、それはほとんど建前の話です。実際、朝現場に集合するのは8時で、現場仕事が終わるのは17時ですが、それから事務所にいったん戻ります。事務所では、先輩の仕事が終わるまでは帰れないです。このあたりがまさに日本的な社風とでも言いましょうか。

 

 ④私の会社は、昭和のなごりを強く残した社風で、上下関係は非常に厳しいです。ただこれは林業に限った話ではないでしょう。また、この業界はなぜかお酒好きの人が多い。お客さんとの付き合いではお酒が飲めたほうが間違いなく得だなと何度も感じています。ちなみに私の会社、社内での飲み会は週に1回は確実にあります。一昔前は週に4回、毎回深夜帰りだったそうですが。

 

 ⑤雨の日は事故が起きる可能性が高いので現場仕事は休みです。毎日、急な山道を車で登る仕事なので、雨の日は地面が滑って半端なく危ないです。パンパンに木を積み込んだ2tトラックで、びっくりするくらい狭くて急な山道を走ったりするわけですから、気を緩めると滑落します。実際に車で滑り落ちた先輩もいます。彼は運よく一命はとりとめましたが。。。

 私の会社では雨の日でも、書類関係の仕事であれば事務所ですることもあります。

つまり、雨の日=休みとは単純にはならないということです。

 

 

 ⑥入社して最初の3か月間は試用期間で、給料は額面で16万円ほどです。なので、手取りに換算すると12、3万円になります。これは未経験なのである程度は仕方のないことですし、私自身もこのことを分かって入社しました。

 とにかく今の時代、木材の値段がとても安いのです。先輩から聞いた話だと、20年前は2tトラック一杯で9万円ほどはお金になった杉の原木が、現在は3万円ほどにしかならないということですから相当安くなっているのでしょう。

 住宅を建てる人の数も減っているので、どのようにして木材の付加価値を高めてくのか、あるいはどのように森林資源を経済的価値に変えていくのか、というのが喫緊の課題です。

 木材が大きな利益にならないのに、なぜ会社を経営できているのかと言えば、それは国からの補助金があるからです(これに関しては別の記事で詳しく書こうと思っています)。ちなみに私の会社の売り上げの半分以上はこの補助金です。

 

 最後に

 

 

 日本の森林の4割が人工林なのです。これは非常に大きな数字だと思います。私たちのご先祖様が大変な思いをして作り上げてきた森が森林全体の4割もあるのです。

 けれど、林業従事者の減少により、森林の担い手がどんどん減ってきています。つまり放置林が増加しているのです。先人が植えた木は余るほどあるのに、なぜこれが価値にならないのかが、とても不思議で、まあ需要がないと言ってしまえばそれまでですが、それをなんとかできないのか、と考えたのが私が林業の道に進もうとした一つの理由なわけです。

 

 今日はこの辺で。