これからの林業
今日は曇りにもかかわらず暑かったです。山の中では、密植された針葉樹林を放射線状に貫通するようにセミの鳴き声が響いていました。この時期なので、ヒメハルゼミか、エゾゼミでしょう。数分歩くだけで服に汗が染み込みます。これから夏が始まりますね。
今回お話ししたいのは、今までとこれからの林業のあり方についてです。と言っても、あまり大風呂敷を広げるようなテーマにしても、僕自身答えられる範囲が限られているため、私の会社での認識を中心についてお話していきます。
今までの林業
以前の記事でも言及したことがありますが、木材(丸太)の値段は1970年~1980年代頃、非常に良かったのです。現在の3倍ほどの値段が付きました。
私の会社の社長は現在70代で、現役でバリバリやっておりますが、その社長が若かった頃は、ほとんど現場に出なくても、十分すぎるくらい商売が成り立っていたと聞いています。木材の価格が今よりも良く需要があったので楽に売れたそうです。
「あの頃は良い時代だった。」とつぶやいているのをたまに聞きます。
現在の林業
ところが、1980年をピークに国産の木材の価格はどんどん下落し、木材の需要も昔ほど旺盛ではなくなり、現在は国からの補助金なしには経営が成り立たないような状況に陥ってしまいました。私の会社の売り上げのほとんどは国からの補助金で占められています。補助金なしには、成り立たないような商売をしているわけです。
昔から、現場で汗水流して、林業家の方が苦労してこられたのは間違いないですが、いつまでも木材が売れ続けるという神話の上にあぐらをかいていたのもまた事実だと思います。
これからの林業
木材が今まで通りに売れなり、さてどうするのか、という状況で一番最初に思い浮かぶのが、木材に付加価値をつけて売るということです。このような取り組みはすでにたくさんの林業家の方が着手をしています。
杉や桧で作った家具・日用品、芸術的な路線での木製インテリア、ひのきを使ったアロマオイル、などなど。
あるいは、所有する森林をまるごと使ってキャンプ場にしたり、森林セラピーの場として利用したり、いろいろなアイデアが飛び交っている状況です。
あの手この手を使って、なんとかこの業界を立ち直らせたいという雰囲気がどんどん強くなってきているように思います。
何もアイデアを出さず、何も実行に移さなければ、間違いなく淘汰される時代です。
終わりに
日本の国土の約30%は先人が私たちに託した人工林であることを忘れてはいけません。これらを放置することは、大変な資源の放置に繋がります。私たちは、少なくとも江戸時代から、植えては伐って生活に利用し、また植えては、、、というサイクルを繰り返しながら木々と付き合ってきました。
そのサイクルの中で、人工林を整備し、森を美しく保つという行為を絶えず行ってきました。
この膨大な資源を、過去から未来へ循環させ続けるためにはどうすればいいのか、 林業家がしっかりと生計をたてながら、人工林を美しく保つためにはどうすればいいのか。
無い知恵を絞りながらも日々頭を悩ませています。
さてこの辺で。